雑談会 2020年3月14日増殖する小詩集tsuzura インド人が 美しい麻婆豆腐をつくっていた (文体について) 無声音で話し合っている 新宿の西にいることが たまらなく恥ずかしくなってきた わたしたちはやがて どこかの湖面に浮くのだろう 原作では野戦場となっているが ここでは うるさい飲食店 その死を インド人に見つめられている
詩誌『布団の会』 2020年3月14日増殖する小詩集tsuzura やあいらっしゃい 店のなかに布団がある 深くめざめているご主人だ 青くなっている 詩のひとたちはでもやってこない (や、ここではなかったか) きっとみんな 池のようなところでもうあつまっている とおもうが 眼があかない 手足もなくなっている 布団の奥で 店だけがやや明るんでいる
船 2020年3月12日増殖する小詩集tsuzura への字の顔が あの字の顔にうつって せきやくしゃみ (体育の日の箱のことだ) 顔はその箱ごと焼いてしまえ 船になって 祖父は夢に出てくる きみが名前で呼ばれるのは そのあとだ となりの世の葱坊主も