少年兵



誰がなんと言おうと
(声をあげたくなる時ってある)

俺は
少年兵になる

私の父はそのとき小間物の
修繕をして暮らしていた

酒が呑みたかったに違いない
くだらねえ

それは子どもが兵士になることか
それとも自分の仕事のことか

今となってはわからない
私も死んですでに十年になる

秋雨





泰淳が
泣きそうになりながら
秋瑾伝の終わりを書いている
ふん
と思って彼女の眼に入らなかった
地味な周兄弟
(どう思いますか)
悪も正もいいきらない
濡れてすべる問いかけはずるい
落水狗
水のなかで犬が泣く
悪い犬を打ちながら泰淳も泣く
世界は
どうしたらいい