函館の鶏 2017年5月7日巡景詩篇tsuzura この子と。わたしたちはいる。ハッピーピエロの店内で。(左右から海がやってくる。)この障害の子と。先に死んでしまう夫婦が。ものに食らいついている。わたしたちはいる。外側から。そのことを妻と眺めている。(清潔で簡単納骨墓石。)死んでばらばらにされた鶏のこと。親や子ががそうだったらどうしよう。もたられされた極楽オムライス。啄木一家もずっとそこで死んでいた。ここは寒いからな。
海峡通り 2017年3月18日巡景詩篇tsuzura しぼられているところ。ひとびとはみんな目を病んでいた。(七人の眼科医が。)辻々にひかえている。海にやられた。山にやられたぞ、と。星のかたちをした小さな陣地で。あおむけに空をみている。(昔みていた。)隣では、ハンバーガーとオムライスをたべている巨漢。いずれ確実に眼が、眼が。とそのひとは叫ぶだろうな。十字路に視野が。しぼられているところ。市電は片側だけで消えている。
鶴見 2017年3月6日巡景詩篇tsuzura 洗わねばならない。獅子ヶ谷にむかって。(中世の悪党。)バスの影とともに全身は糞にまみれた。自由。狼藉。ひとびとは金髪を揺らし。少し北寄りに集まってくる。(こんなところにも。)大きなショッピングセンターがあるんだね。わたしと妻は鶴見にいた。老いの悪党。生きながらえたまま、急いでそこを飛び立とうとする。