雑談会





インド人が
美しい麻婆豆腐をつくっていた
(文体について)
無声音で話し合っている
新宿の西にいることが
たまらなく恥ずかしくなってきた
わたしたちはやがて
どこかの湖面に浮くのだろう
原作では野戦場となっているが
ここでは
うるさい飲食店
その死を
インド人に見つめられている

詩誌『布団の会』





やあいらっしゃい
店のなかに布団がある
深くめざめているご主人だ
青くなっている
詩のひとたちはでもやってこない
(や、ここではなかったか)
きっとみんな
池のようなところでもうあつまっている
とおもうが
眼があかない
手足もなくなっている
布団の奥で
店だけがやや明るんでいる





への字の顔が
あの字の顔にうつって
せきやくしゃみ
(体育の日の箱のことだ)
顔はその箱ごと焼いてしまえ
船になって
祖父は夢に出てくる
きみが名前で呼ばれるのは
そのあとだ
となりの世の葱坊主も