月別アーカイブ: 2016年11月

地獄

次男が、来月から。
地獄に転勤することになった。
多くのひとが死に絶え。
それでもまだ飯を食おうとしてやってくる。
そういう人口の少ないところだ。
(いや。違うから。)
地獄じゃないから。
わたしと妻はおがんでいる。
自分らはわるいことをしたとは思ってないが。
次男は、地味な地獄にいく。
しかたない。
一本道がずっと続いていて。
左右に遠く青い山がみえる。
阿鼻叫喚をつくる大きな工場もあるんだね。
(いや。違うから。)

富士神社

おいてきぼりだろう。
荒野でとがっていたな。
世俗の妻は膝が痛くなってしまった。
わたしひとりが。
消えていく高みだもの。
(悲劇といっても大したことはない。)
すぐに。
高く思い上がったわたしは降りてくる。
きょうはひとがいないよ。
小学生の女の子が。
この世界をナイフのように切っていくので。
きみはまるで次郎長だな。
この神社はつまるところ。
(無意志。)
世界に向かってはとがってない。

海峡通り

しぼられているところ。
ひとびとはみんな目を病んでいた。
(七人の眼科医が。)
辻々にひかえている。
海にやられた。山にやられたぞ、と。
星のかたちをした小さな陣地で。
あおむけに空をみている。
(昔みていた。)
隣では、ハンバーガーと
オムライスをたべている巨漢。
いずれ確実に眼が、眼が。
とそのひとは叫ぶだろうな。
十字に視野が。
しぼられているところ。
市電はどこをも曲がり切れないでいる。