わずかな時間で


みずからの水をぬく。女のまえで。
おしっこをもらした。
もぐりましょうね。
たつのおとしご。
ほんとうにいるんだよ、このわずかな時間で。
杉田駅まえで。
それで五十年。生きたと言いはるのさ。
死ぬ前に読んだのは。
芥川。啄木。
あの難解な男が。
(なんどもらしたってだいじょうぶ。)
わたしたちのおむつ。
平安時代からの介護のよろこび。


どんどん街



耳鼻咽喉科。ひとの顔は。
穴でできている。
信用第一だもの。
意味なんかどうでもいい。
この商店街の入口だって穴でできている。
(どんどんどん。何の音。)
世間の音だよ。
ということが。ぜんぜんわからない。
その奥から街は燃え立つのだろう。
そう言ってみたかっただけ。
どんどんと。
水をたらして。
耳鼻咽喉はほそく生きてのびていく。