死んでゆく部屋


長男が生まれて。
しばらくして引っ越しをした。
(こんなに無数の部屋を。)
どうやって殺していこう。
引っ越しの晩。蒲団にくるまり、
わたしらはコンビニのおにぎりで過ごした。
二十数年後。その長男が。
じぶんの部屋を素手で殺している。
(こうやって部屋は死ぬのか。)
こどものころ。わたしは。
六畳の端にある、便所がこわかった。
借家のゆうれいが出そうだったのだ。
でも今じゃ、わらいばなし。
不気味にさまよっているのは。
じつは、生きてる方のやつなんだよな。


夢見ヶ丘動物公園

スリッパをけんめいに探す夢をみた。
川崎はね。
工場と奇形と、黒いものらの町だと。
ずっと思ってた。
古墳。墓地。
あまてらすおおみかみ。やぎ。
心霊スポットでもあるらしい。
紀元前は。岬だったそこで、
わたしはやわらかいうんこをした。
スリッパは次男が隠していた。
いっしょの妻は、実は。
おしっこがしたかった。
川崎と、この山と、夜の次男。
(それから新米の飼育員。)
みんなが夢のように今日とつりあっていた。