「巡景詩篇」カテゴリーアーカイブ

井土ヶ谷事件

あるとき事件をみた。
チャーハンにから揚げがたくさん乗っている。
ふつうでいいですか。
もちろん、そうでないひとがいるなら。
ここに呼んできてもかまわない。
たいへんなことが起こっている飯店。
昼間から酎ハイを飲むひとや、
わたしと次男が。
めしをくう土地の事件である。
外国人はまず。
ここで食べてから死んでください。
腹はひらかれない。

渋谷は

渋谷はもうほろびてもいい。
わたしたちは迂回するだろうね。
(一生かけても。)
とつぜん死んでしまった、
かわいそうな学芸大学駅。
ゆうれいのように学んでいるものども。
あのね。きみらはなんでも
詩にしようとしてないだろうか。
妻にいわれた。
(あ、飛行船。)
指摘されてわたしは急に縮小される。
浮かばれないから。
くらしと抒情は分けようよ。
そこからふたたび下北沢まであるいた。
もう。渋谷は。
空からほろびたっていいんだ。

間宮林蔵


橋はやっぱり鉄だろ。
こまめに地域はつながれていく。
間宮林蔵の墓。
彼に向って明治の鉄橋をかけてみよう。
わたくしと妻は。
たしかめる。病気を。
死んだ間宮林蔵。
もうさむいところへは行かれないな。
こどもたちは一人ずつ瓶から出ていく。
鉄橋のほんとのきもち。
(鉄の歴史はすごく短いんだが。)